2026.08.03 / 税務調査

熊本で税務調査の連絡が来たら|事前通知の内容と初動対応を国税OBが解説

熊本で税務調査の連絡が来たら|事前通知の内容と初動対応

熊本市内で事業をされている方から、「税務署から電話がありました。どうすればいいですか」というご相談をいただくことがあります。多くの方が、まず日程を聞かれて、その場で答えてしまいます。

この記事では、熊本の中小企業・個人事業主の方に向けて、調査の連絡が来た時点で何が起きているのか、最初にすべきことは何かを、国税の現場に30年いた立場から条文にもとづいて整理します。

その電話は、法律で定められた「事前通知」です

税務署が実地の調査を行う場合、原則としてあらかじめ納税者へ通知することが法律で決まっています。国税通則法第74条の9第1項です。

同項は、通知する事項として次を挙げています。

▶ 事前通知で伝えられる事項(国税通則法第74条の9第1項)

実地の調査において質問検査等を行う旨に加えて、次の事項が通知されます。

一 調査を開始する日時/二 調査を行う場所/三 調査の目的/四 調査の対象となる税目/五 調査の対象となる期間/六 調査の対象となる帳簿書類その他の物件/七 その他調査の適正かつ円滑な実施に必要なものとして政令で定める事項

つまり、「いつ・どこで・何の税金の・いつからいつまでを・どの帳簿を見るのか」は、調査が始まる前に分かるということです。逆に言えば、ここを聞き取れていないと準備のしようがありません。

熊本市内はどの税務署が担当するのか

国税庁の案内によると、熊本市の管轄は2つに分かれています。中央区・西区・南区・北区は熊本西税務署(熊本市西区春日2丁目10番1号 熊本地方合同庁舎B棟)、東区と上益城郡は熊本東税務署(熊本市東区東町3丁目2番53号)です。

当事務所のある熊本市中央区は熊本西税務署の管内にあたります。同じ熊本市内でも窓口が違いますので、連絡が来た際は税務署名も控えておいてください。

日程は、その場で即答しなくて構いません

提示された日時を断ってはいけない、と思い込んでおられる方が少なくありません。国税通則法第74条の9第2項は、通知を受けた納税者から合理的な理由を付して日時や場所の変更を求められた場合、税務署長等は協議するよう努めるものとすると定めています。決算期で手が離せない、といった事情があるなら、その理由を添えて相談することができます。

ただし「理由なく先延ばしにする」ことを認めた規定ではありません。合理的な理由を添えて協議する、という趣旨です。引き延ばしを重ねると、かえって印象を悪くする場合があります。

また、税務代理を依頼している税理士が税務署に提出する税務代理権限証書に、「調査の通知は税務代理人に対してすれば足りる」旨の同意が記載されている場合には、事前通知は税理士に対してすれば足ります(国税通則法第74条の9第5項、同法施行規則第11条の4第1項)。この記載がないときは、納税者本人と税理士の双方に通知が行われます。日程調整の窓口を税理士に寄せておきたい場合は、証書の同意欄を確認しておくとよいでしょう。

連絡が来た時点で、加算税の扱いが変わります

初動を急いでいただきたい理由がここにあります。申告の誤りに自分で気づいて直す場合、「いつ直したか」で加算される税額が変わるからです。

国税通則法第65条第6項は、調査があったことにより更正があるべきことを予知せずに修正申告書を提出し、それが「調査通知」がある前に行われたものであるときは、過少申告加算税の規定を適用しないと定めています。ここでいう調査通知とは、実地の調査で質問検査等を行う旨と、調査の対象となる税目・期間を伝える通知のことです(同項)。

修正申告のタイミング 過少申告加算税
調査通知の前(更正を予知していない) 適用しない(第65条第6項)
調査通知の後・更正を予知する前 5%(第65条第1項かっこ書き)
更正を予知した後 10%(第65条第1項)

※納付すべき税額が期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分には、さらに5%が加算されます(同条第2項)。※この表は過少申告加算税のものです。申告そのものをしていなかった場合は無申告加算税(第66条)の扱いになり、調査通知の前に予知せず期限後申告をしたときでも5%が課されます(同条第8項。一定の要件を満たす場合の例外は同条第9項)。

税目と対象期間まで伝えられた時点で、いちばん軽い扱いの窓は閉じています。それでも、更正を予知する前であればまだ差はあるということです。心当たりがあるなら、放置せずに早い段階で税理士に相談する意味はここにあります。

なお、「予知していたかどうか」を判断するのは税務署側です。金額や区分を誤った修正申告はかえって不利にはたらくこともありますので、提出の前に税理士にご確認ください。

また、事実を隠蔽または仮装していたと認められる場合は、過少申告加算税に代えて35%の重加算税が課されます(第68条第1項)。無申告で隠蔽・仮装があった場合は40%です(同条第2項)。さらに、過去5年以内に無申告加算税や重加算税を課されたことがあるなど一定の場合には、これに10%が加算されます(同条第4項)。どのような行為がこれに当たるかは重加算税はどんな場合に課される?で解説しています。

事前通知がないまま来ることもあります

事前通知は原則であって、例外があります。国税通則法第74条の10は、納税者の申告内容や過去の調査結果、事業内容などに照らして、違法または不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれその他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認める場合には、事前通知を要しないとしています。現金商売など、その日の売上の状況を確認する必要がある業種で行われることがあります。実際の場面は元国税調査官が見た、無予告調査の一場面をご覧ください。

連絡を受けたら、まずこの3つ

▶ 1. 通知された内容をその場で書き取る

日時・場所・税目・対象期間・見る帳簿、そして調査を行う職員の氏名と所属官署(税務署名)。いずれも第74条の9第1項で通知される事項です。ここが曖昧なままだと、何を準備すべきかが決まりません。

▶ 2. 帳簿と原始記録の所在を確認する

総勘定元帳、請求書・領収書、通帳、契約書。対象期間のものが揃っているかを確認します。足りないものを作り直したり、書き換えたりしてはいけません。調査官は筆跡や連番、取引先側の資料から整合性を確認することがあり、隠蔽・仮装と判断されれば前述の重加算税の対象になり得ます。

▶ 3. 税理士に連絡する

顧問税理士がいれば、日程を答える前に一報を入れてください。顧問がいない場合でも、調査の立会いから依頼できる事務所があります。調査当日のやりとりは税務調査は「世間話」から始まっていますもご参考ください。

熊本で税務調査の対応を相談するなら

仁王さん通り税務会計は熊本市中央区の税理士事務所です。代表の平野和博は国税の現場に30年在籍し、累計500件を超える調査に携わってきました。調査官がどこを見て何を根拠に判断するのかを、内側から知っている立場でご相談に応じます。顧問契約のない方の調査立会いにも対応しています。

税務調査対応のご案内をご覧いただき、お電話(096-288-3894)またはお問い合わせフォームからご連絡ください。日程を答える前のご相談でも構いません。

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