「帳簿だけ見ていればいい」なんて、調査官は誰も思っていません。
税理士として開業する前、私は国税の現場で30年間、調査の仕事をしてきました。その経験からまずお伝えしたいのは、「税務調査=帳簿をひたすら見る仕事」というイメージは、実態とはかなり違うということです。
税務調査は「事前通知」が原則。だから帳簿は整っていて当たり前
そもそも、税務調査は事前通知をしてから伺うのが原則です。事前に通知をすれば、調査を受ける側はある程度準備をされます。帳簿の数字を整え、必要な書類を揃え、説明できる状態にしておく。つまり、帳簿のつじつまが合っているのは、当たり前なのです。
だからこそ、調査官の本当の仕事は、その“当たり前に整った帳簿”の向こう側にある違和感を見つけることになります。
一流の調査官と二流の調査官、違いは「最初の30分」
一流の調査官と二流の調査官の違いは、調査が始まって最初の30分でだいたい分かります。
二流の調査官は、すぐ帳簿を開く
まず、二流の調査官は、あいさつの後、席に着くなりすぐ帳簿を開きます。そして付箋を片手に、片っ端から数字を追いかけ、気になった箇所に付箋を貼っていく。一見、仕事熱心に見えますが、これは“調べているフリ”に近い面もあります。事前通知された帳簿から、わざわざ仮装隠蔽の証拠が出てくるほうが珍しいのに、です。
一流の調査官は、まず「世間話」から入る
一方、一流の調査官は、まず長めの世間話から入ります。
- 趣味は何ですか
- 最近どこかへ行かれましたか
- お子さんは何をされていますか
- お車はどちらの
- 最近、景気はどうですか
一見すると、世間話で時間を潰しているように見えるかもしれません。ですが、ここで聞き出しているのは、社長の趣味・嗜好・生活水準・性格・人間関係・お金の使い方といった、申告書には出てこない情報です。
そして、その世間話で得た“その人の姿”と、目の前にある会社の数字や雰囲気を照らし合わせていく。ズレているところ、説明がつかないところ――それが「違和感」になるわけです。一流の調査官は、その違和感に狙いを定めて、ピンポイントで質問を重ねていくのです。
調査官が“違和感のスイッチ”を入れた、実際の場面
私自身、実際の現場では「違和感」のスイッチを入れまくって仕事をしておりました。たとえば、こんな場面です。
どれも、それ単体では「ただの物」です。ノベルティグッズも、印鑑も、領収書も、メモも、現金も、それ自体は何の証拠でもありません。
ですが、そこに「なぜここに、これがあるのか」「なぜ、こうなっているのか」という違和感を基に色々な想定を立てていくと、帳簿の数字と真実の数字の間にある“見えない作業”が、少しずつ姿を現してくるのです。これこそが、調査官がやっている仕事です。
「世間話にも要注意」――でも、身構える必要はありません
だからこそ、私が皆さまにお伝えしたいのは、「税務調査では、世間話にも要注意ですよ」ということなんです。
なにも、「警戒して喋るな」と言いたいわけではありません。むしろ、世間話のすべてに身構える必要はありません。問題は、何気ない一言が、後で出てくる数字や資料と食い違ってしまうこと、そして、身の回りの“物”が語ってしまう違和感を、ご自身が気づかないまま放置していることです。
帳簿が整っていることと、調査に強いことは違う
帳簿が整っていることと、調査に強いことは、同じではありません。本当に大事なのは、調査官の視点を知ったうえで、日頃から会社の中も、机の中も、説明できる状態にしておくことです。
私は国税の現場で長年、調査する側として多くのケースを見てきました。だからこそ、「調査官がどこに違和感を持つのか」「世間話の中で何を拾われているのか」を、リアルにお伝えできます。税務調査への具体的な対応は税務調査対応のページで、対応の流れや料金は税務調査の特設ページでもご案内しています。
普段から相談できる税理士を持つことが、一番の安心材料です
税務調査の連絡が来てから慌てるのではなく、普段から相談できる税理士を持っておく。それが、経営者にとって一番の安心材料です。
税務調査への不安、日頃の経理のご相談、何気ない疑問でも構いません。「こんなこと聞いていいのかな」と思うようなことこそ、お気軽にお声がけください。熊本で税務調査にお悩みの経営者の方は、ぜひ仁王さん通り税務会計にご相談ください。
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