2026.10.25 / 消費税

熊本の飲食店の消費税|テイクアウトと店内飲食の税率と1%引下げ案

熊本の飲食店の消費税|テイクアウトと店内飲食の税率と1%引下げ案

熊本で飲食店を営む方の中には、「店内で食べるお客様と持ち帰りのお客様で、消費税はどう分ければいいのか」「飲食料品の消費税が1%になると聞いたが、お店には関係あるのか」と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、熊本の飲食店の方に向けて、店内飲食とテイクアウト・出前の税率の違い、お酒やセット商品の扱い、仕入れの記帳と簡易課税の事業区分、そして令和9年4月からの税率引下げ案(2026年10月時点で国会審議中)が飲食店にどう関係するかを、国税庁の資料をもとに整理します。

▶ この記事のポイント

  • 店内での飲食(外食)は標準税率10%、テイクアウトや出前・宅配は軽減税率8%です
  • どちらになるかは、料理を提供する時点で、お客様への意思確認などによって判定します
  • お酒は持ち帰りでも10%です。持ち帰り用にお酒を販売するには、酒類の販売業免許が必要です
  • 簡易課税では、飲食店業は第4種事業(みなし仕入率60%)です
  • 令和9年4月1日から2年間、飲食料品の税率を1%にする法案が国会に提出されています。成立すれば、テイクアウト・出前は1%、店内飲食は10%のままになります

飲食店の売上は「店内飲食10%」と「持ち帰り8%」に分かれます

飲食店の売上には、2つの税率が混在します。店内で食事をしてもらう「外食」は標準税率10%、料理を持ち帰ってもらう「テイクアウト」や、届けるだけの「出前・宅配」は軽減税率8%です。軽減税率の対象は「飲食料品の譲渡」で、外食やケータリング等は含まれないとされています(国税庁 タックスアンサーNo.6102)。

ここでいう外食とは、飲食店業等の事業を営む者が、飲食に用いられる設備がある場所で行う食事の提供をいいます。ケータリング等とは、お客様が指定した場所で、加熱、調理または給仕等の役務を伴って行う飲食料品の提供をいいます(同No.6102)。

提供のしかた 現在の税率
店内での飲食(外食) 10%
テイクアウト(持ち帰り) 8%
出前・宅配(届けるだけ) 8%
ケータリング・出張料理(指定場所での調理・給仕等) 原則10%
お酒(店内・持ち帰りとも) 10%

税率の内訳は、10%が消費税7.8%と地方消費税2.2%、8%が消費税6.24%と地方消費税1.76%です(国税庁 タックスアンサーNo.6102)。

店内か持ち帰りかは「提供する時点」で決まります

軽減税率が適用されるかどうかは、事業者が飲食料品を提供する時点で判定します(国税庁 タックスアンサーNo.6102)。イートインかテイクアウトかは、提供する時点でお客様に意思確認を行うなどの方法で判定し、意思確認は口頭のほか、営業の実態に応じた方法で行ってよいとされています(国税庁「飲食料品に係る2年間の消費税率引下げについて」パンフレット)。

熊本でも、店内での食事に加えて、弁当の持ち帰りや出前を行っている飲食店があります。注文を受けるときに「店内でお召し上がりですか、お持ち帰りですか」と確認し、その区分をレジや売上の記録に残しておくことが、正しい申告の土台になります。

器やおもちゃが付いたセット商品(一体資産)

お菓子とおもちゃ、食品と器のように、食品と食品以外のものがあらかじめ一体になっていて、全体の価格だけが表示されている商品を「一体資産」といいます。一体資産は、税抜価額が1万円以下で、食品の価額の占める割合が3分の2以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象になり、それ以外は全体が標準税率の対象になります(国税庁 タックスアンサーNo.6102)。店頭で土産用の詰め合わせや器入りの商品を販売している場合は、この基準で税率を確認しておきましょう。

お酒は持ち帰りでも10%、販売には免許が必要です

軽減税率の対象となる飲食料品からは、酒類が除かれています(国税庁 タックスアンサーNo.6102)。焼酎や日本酒、ビールなどは、店内で提供しても持ち帰り用に販売しても10%です。

注意:お酒を持ち帰り用に販売するには免許が必要です
酒場や料理店など、お酒を自分の店で飲んでもらうだけであれば酒類の販売業免許は必要ありません。しかし、テイクアウト用など店以外の場所で飲まれるためのお酒を販売する場合は、酒税法に基づき、販売場ごとに所轄税務署長から販売業免許を受ける必要があります(国税庁「販売業免許関係」Q3)。持ち帰りメニューにお酒を加えることを考えている場合は、始める前に税務署へご確認ください。

仕入れも税率ごとに分けて記帳します

売上だけでなく、仕入れや経費も税率ごとに分けて記帳(区分経理)する必要があります(国税庁 タックスアンサーNo.6102)。飲食店の場合、肉・野菜・調味料などの食材は8%、お酒や包装資材・洗剤・割り箸などの消耗品、店舗の家賃や水道光熱費は10%というように、同じ仕入先からの請求書に複数の税率が並ぶこともあります。

仕入税額控除を受けるには、帳簿と、登録を受けた事業者(適格請求書発行事業者)から交付を受けたインボイスなどの保存が必要です(同No.6102)。食材の仕入先から届く請求書に、登録番号や税率ごとの消費税額が記載されているかを確認しておきましょう。なお、登録を受けていない事業者からの仕入れについても、経過措置により仕入税額相当額の一定割合を控除できる期間が設けられています(同No.6102)。

一方、お客様に渡すレシートについては、小売業や飲食店業などを営む事業者が交付する書類は、適用税率か消費税額等のいずれかの記載でよく、交付を受ける事業者の氏名・名称(宛名)の記載も不要とされています(国税庁 タックスアンサーNo.6625)。接待などで領収書を求めるお客様もいますので、レジのレシートに登録番号が印字されているかを一度確認しておくと安心です。

簡易課税を選んでいる飲食店の事業区分

簡易課税制度では、売上にかかる消費税額に、事業の種類ごとの「みなし仕入率」を掛けて、控除できる仕入税額を計算します。飲食店業は第4種事業で、みなし仕入率は60%です(国税庁 タックスアンサーNo.6509)。

事業の区分は、原則として取引ごとに判定します(同No.6509)。飲食店のほかに、仕入れた商品をそのまま販売する物販などを行っている場合は、売上を事業の種類ごとに分けて記録しておくことが大切です。区分していない部分は、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率で計算することになります(国税庁 タックスアンサーNo.6505)。テイクアウトや物販をどの区分にするかは業態によって変わることがあるため、国税庁の事業区分の資料や質疑応答事例で確認するか、税理士にご相談ください。

簡易課税の選び方や、インボイスの2割特例が令和8年9月30日を含む課税期間で終わったあとの選択肢については、インボイスの2割特例は令和8年9月で終了|熊本の小規模事業者の次の選択で整理しています。令和8年熊本地震で被災された事業者の方向けの届出の特例にも触れていますので、あわせてご覧ください。

令和9年4月からの「飲食料品1%」案と飲食店への影響

政府は令和8年10月9日、飲食料品に係る消費税率を臨時的に引き下げる法律案を閣議決定し、第222回国会に提出しました(内閣官房ホームページ)。国税庁の資料によると、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品に係る消費税率が1%(国・地方合計)に引き下げられる内容です。

2026年10月時点では、まだ法律は成立していません
国税庁のパンフレットも、令和8年9月15日に閣議決定された大綱で示された改正案の内容を説明したもので、法案が国会で可決・成立した場合のものだと明記しています。以下はその前提での整理です。成立した場合の最終的な内容は、国税庁の「消費税率引下げ特設サイト」でご確認ください。

法案では店内飲食は10%のまま、持ち帰り・出前は1%

1%の対象となる飲食料品の範囲は、現在8%の対象となっている範囲と同じです。国税庁のパンフレットでは、外食は10%、テイクアウトと出前・宅配は1%、ケータリング等は原則10%と整理されています。現在は店内10%と持ち帰り8%の差ですが、引下げが実施されると10%と1%の差になり、注文時の確認やレジの税率設定を誤ったときの影響がこれまでより大きくなります。

また、店内飲食が中心のお店では、食材の仕入れにかかる税率が1%に下がる一方、売上には10%がかかります。国税庁のQ&Aも、飲食店のように仕入れが1%で売上が10%となる事業者について、引下げの終了後に仕入税額が増えることで中間納付税額が過大となる場合を想定し、中間申告の特例を設けるとしています。仕入れと売上の税率の組み合わせが変わるため、引下げ期間とその前後で、納める消費税額の見込みを立て直しておくことをおすすめします。

テイクアウトの多いお店に関係する特例

国税庁のパンフレットでは、飲食料品の販売を行う事業者向けに、次のような特例が設けられるとしています。

  • 簡易課税で申告する場合、業種区分にかかわらず、飲食料品の販売(1%対象)に係る売上税額と同額の仕入税額を計上する計算方法の特例
  • 簡易課税の事業者が、令和9年4月1日の属する課税期間中に「簡易課税制度選択不適用届出書」を出せば、その課税期間から一般課税で申告できる特例(いわゆる2年縛りも適用しない)
  • 免税事業者が、令和9年4月1日の属する課税期間中に「課税事業者選択届出書」を出せば、その課税期間から課税事業者になれる特例
  • 値札の貼り替えが間に合わないなどの事情がある場合に、令和9年2月1日から5月31日までの間、誤認させない掲示などを条件に、飲食料品について8%または1%での総額表示を認める特例(引下げ終了時にも同様の特例)

このうち届出に関する特例を受けるときは、届出書の「参考事項」欄に「飲食料品特例」と記載して提出することとされています。

仕入れが10%で売上が1%になるような場合には、一般課税で申告すると消費税の還付を受けられる可能性があるとも説明されています。ただし、課税事業者を選択すると原則として2年間は申告が必要になるなど、届出にはそれぞれ条件があります。どの申告方法が合うかはお店の売上と仕入れの構成によって変わるため、法律の成立後に、実際の数字で試算してから判断するのが安全です。

熊本の飲食店が今のうちに確認しておきたいこと

▶ チェックリスト

  • 注文時に「店内か持ち帰りか」を確認し、レジで税率を分けて記録できているか
  • 出前・宅配と、出張料理・ケータリングを区別しているか
  • お酒を持ち帰り用に販売していないか(販売する場合は免許の有無)
  • 土産品やセット商品の税率を、一体資産の基準で確認しているか
  • 仕入れ・経費を税率ごとに分けて記帳し、インボイスを保存しているか
  • 簡易課税か一般課税か、今の申告方法と事業区分を把握しているか
  • 1%引下げの法案が成立した場合に、レジ・メニュー表示・届出をいつまでに見直すか

飲食店の税務では、消費税のほかにも、現金売上の管理やまかないの扱いなど確認しておきたい点があります。国税庁の統計から業種別のポイントをまとめた熊本の飲食店・建設業の税務調査|国税庁の統計で見る業種別のポイントもあわせてご覧ください。

熊本で飲食店の消費税を相談するなら

店内飲食と持ち帰りの区分、仕入れの記帳、簡易課税と一般課税の選択は、お店の業態や売上の構成によって答えが変わります。税率引下げの法案が成立した場合は、レジや届出の準備も必要になります。

仁王さん通り税務会計は、熊本市中央区を拠点に、国税での30年の経験をふまえて、日々の税務を税務顧問としてご支援しています。費用の目安は料金プランをご覧ください。初回40分のご相談は無料です。お問い合わせフォームから、またはお電話(096-288-3894/平日8時30分〜17時30分、メールは24時間受付)でお気軽にお声がけください。

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▶ 出典

※ 上記の各資料をもとに当事務所が要約・編集しています。税制の内容は改正されることがあります。本記事は2026年10月時点の公表情報に基づいています。