2026.06.29 / エンタメ・配信者の税務

声優・配信者の開業届の出し方|提出時期・青色申告・経費の基本

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熊本で声優・ナレーターや動画配信者として活動を始めると、最初に迷うのが「開業届は出すべき?」という疑問ではないでしょうか。提出のタイミングや青色申告とのセットでの手続きを知らないまま確定申告の時期を迎えると、受けられたはずの節税を逃してしまうこともあります。この記事では、国税在職30年の元税務署目線をもつ仁王さん通り税務会計(熊本市中央区)が、声優・配信者の開業届の出し方を、提出時期・メリット・青色申告・経費まで一通り解説します。

声優・配信者は開業届を出すべき?提出時期と提出先

開業届(正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」)は、事業を始めた人が税務署へ提出する書類です。声優・ナレーター・VTuber・ライバーなど、継続して報酬を得て活動するなら、税務上は個人事業主に当たります。

▶ 提出期限は、開業の日から1か月以内とされています(所得税法)。ただし、期限を過ぎて提出しても、それ自体に罰則はありません。とはいえ、後述する青色申告の手続きと深く関わるため、早めに出しておくのが安心です。

▶ 提出先は、納税地(原則お住まいの住所地)を管轄する税務署です。熊本市内で活動されている方であれば、中央区・西区・南区・北区にお住まいなら熊本西税務署、東区なら熊本東税務署が管轄です。オンライン中心で全国の仕事を受けている声優・配信者の方でも、生活の拠点が熊本にあれば、お住まいを管轄する税務署が提出先になります。

開業届は「提出用」と「控え」の2部を用意し、税務署へは提出用のみを提出します。なお、令和7年1月から、税務署では収受日付印(受付印)の押なつが廃止されました。代わりに、当分の間の対応として、提出した日付や税務署名を記載した「リーフレット」が窓口で交付されます(郵送で提出する場合は、切手を貼った返信用封筒を同封すると返送されます)。このリーフレットを、開業届の控えと一緒に保管しておきましょう。控えとリーフレットは、屋号付きの銀行口座の開設や、創業融資の審査などで「事業を行っている証明」として求められることがあります。

開業届を出す3つのメリット

① 青色申告で節税の選択肢が広がる

開業届を出し、あわせて青色申告の承認を受けると、最大65万円(令和9年分以降は最大75万円)の青色申告特別控除など、白色申告にはない節税の選択肢が使えるようになります(要件は次章で解説します)。

② 屋号付きの口座や事業用カードを作りやすい

屋号付きの銀行口座は、声優活動の報酬の入金とプライベートのお金を分けて管理するのに便利です。確定申告の集計もぐっと楽になります。

③ 小規模企業共済などに加入できる

個人事業主向けの小規模企業共済は、将来への備えになるうえ、掛金が全額所得控除の対象になります。開業届を出して事業者として活動することが、こうした制度を利用する前提になります。

開業届とセットで出したい「青色申告承認申請書」

節税を考えるなら、開業届と一緒に「青色申告承認申請書」を提出するのがおすすめです。開業した年から青色申告にする場合、開業の日から2か月以内に提出する必要があります。出し忘れると、初年度は白色申告になってしまいます。

青色申告特別控除の額は、記帳の方法と申告の方法によって決まります。まず、現行(令和8年分まで)の要件は次のとおりです。

▶ 現行(令和8年分まで)の控除額

65万円控除 複式簿記での記帳+期限内申告に加え、e-Taxによる電子申告、または優良な電子帳簿の保存が必要
55万円控除 複式簿記+期限内申告(紙で申告する場合など)
10万円控除 簡易な記帳の場合

▶ 令和9年分以降の控除額(令和8年度税制改正による見直し)

令和8年度の税制改正により、令和9年分(2027年分)以降は、電子化を前提とした次の区分に見直されます。

75万円控除 一定の要件を満たす電子帳簿(優良な電子帳簿)を作成・保存している場合
65万円控除 複式簿記かつ電子申告(e-Tax)の場合
10万円控除 簡易な記帳、または複式簿記でも紙で申告する場合
令和9年分以降は、複式簿記でも紙で申告すると控除額が10万円まで下がります。これまで紙で55万円の控除を受けていた方は、e-Taxへの切り替えが実質的に必要になります。なお、75万円・65万円の控除は、いずれもe-Taxによる電子申告が前提です。会計ソフトでの記帳とe-Taxでの申告をセットにしておくと、現行の65万円控除も、令和9年分以降の控除もスムーズに狙えます(出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」、令和8年度税制改正)。

声優の所得は「事業所得」?それとも「雑所得」?

声優・配信者として得た報酬を確定申告するとき、その所得が「事業所得」になるか「雑所得」になるかは、節税のうえで大きな分かれ目です。

継続的・反復的に、生活の柱となる規模で活動していれば事業所得に当たります。一方、その所得に係る帳簿書類の保存がなく、収入金額が300万円以下といった場合などは、雑所得と扱われやすいとされています(令和4年の所得税基本通達の改正による考え方)。逆にいえば、帳簿をきちんと備えて継続的に活動していれば、金額が小さくても事業所得として認められやすくなるということです。

元税務署の視点でお伝えすると、税務署は開業届の有無や帳簿の備え、申告の継続性などから「事業としての実態があるか」を見ています。開業届を出して帳簿をつけておくことは、事業所得として申告する土台になります。事業所得と雑所得の線引きについては、雑所得300万円の取扱いを解説した記事もあわせてご覧ください。

開業後に押さえたい経費とインボイス

事業所得として申告する場合、仕事に関連する支出は経費にできます。声優・配信者であれば、ボイストレーニングやレッスン代、台本・資料代、マイクや配信機材、仕事用の衣装、現場までの交通費、さらにのど飴のような消耗品も、仕事との関連性を説明できれば経費に含められる場合があります。プライベートと兼用しているものは、使用割合に応じて家事按分します。経費の考え方は、配信者の経費10選の記事声優・ナレーターの確定申告ガイドも参考になります。

もう一つ、開業時に気になるのがインボイス制度です。取引先である事務所や制作会社が課税事業者の場合、インボイス(適格請求書)の登録を求められることがあります。登録すると消費税の申告が必要になりますが、負担を軽くする「2割特例」は、個人事業主の場合は2026年分(令和8年分)の確定申告までとなっており、その後の負担軽減措置については見直しが示されています。登録するかどうかは取引先との関係や売上規模によって変わるため、最新の取扱いを確認しながら判断することをおすすめします。

熊本で声優・配信者の開業・税務を相談するなら

開業届や青色申告、経費の判断は、活動の実態や取引先によって最適な進め方が変わります。仁王さん通り税務会計は、国税在職30年・累計500件を超える調査経験をもつ税理士 平野和博が、エンタメ業界(声優・配信者・芸能関係)の税務を熊本でサポートしています。これから開業する方の届出から、日々の記帳・確定申告・節税まで、まとめてご相談いただけます。

開業の進め方は開業・独立支援のページ、開業後の継続的なサポートは税務顧問のページをご覧ください。初回のご相談は無料です。

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