「少し遅れただけ」のはずが、いつの間にか大ごとに
国税の現場で30年仕事をしてきた中で、本当に多く出会ったのが、
「最初は、ちょっと遅れただけのつもりだった」
と語る経営者や個人事業主の方々でした。
申告が、ほんの少し遅れた。最初はその程度の話だったはずが、気がつけば 何年分も未申告のまま積み上がっていた ―こうしたケースを、現場で何度も見てきました。
期限後申告や無申告は、本人の中では「とりあえず後回し」になりがちです。
ですが税務の世界では、後回しの代償が、想像以上に重いのです。
重点的に調査される業種があります
ここで一つ、現場の本音をお話しします。
税務署勤務時代、調査を担当する側として「ここは重点的に見ていこう」と意識する業種がありました。
その代表格が、飲食業です。
理由はいくつかありますが、大きくはこの二つです。
- 現金商売であるため、売上が掴みづらい
- そもそも申告していない方が、決して少なくない
特に二つ目 ―無申告の問題は、想像されるよりずっと多くの現場で目にしてきました。
「この店、申告せんでもわからんだろう」
無申告の飲食店の方とお話していると、よくこんなお話が出てきます。
「こんな小さな店、申告せんでもわからんだろう」
「常連さん中心の現金商売だし、税務署も把握できないだろう」
「忙しいから、そのうちまとめてやるつもりだった」
コロナ禍では、協力金や支援金を受け取るために、急いで申告に踏み切られた方も多くいらっしゃいました。逆に言えば、それまでずっと無申告だった方が、相当数いらっしゃったということでもあります。
そして、安易な気持ちのまま、コロナ後も無申告状態を続けている方が、現場の感覚としては、まだ残っているはずです。
では、なぜ「バレる」のか?
「申告しなければ、税務署に知られないだろう」
これは、ハッキリ申し上げて、幻想です。
税務署は、申告書だけを見て世の中を把握しているわけではありません。
外側からの情報を、地道に集めています。
たとえば飲食店の場合、こんな経路から“足がつく”ことになります。
- 保健所の営業許可の申請情報
- 店舗を借りる際の不動産賃貸契約書
- 電話回線の申込情報
- インターネット回線・ドメインの登録情報
- 食材・酒類の仕入先からの取引情報
- 決済代行・QR決済・カード会社からの入金情報
- 求人媒体への求人掲載情報
- グルメサイト・SNS・地域情報誌などの露出情報
開業して営業している以上、何かしらの形で社会との接点が生まれ、その接点が、外側からの情報として残ります。
税務署は、これらを地道に突き合わせていきます。「申告がないけれど、明らかに営業している事業者」は、こうやって把握されていくのです。
何年分もまとめての期限後申告
無申告の状態で調査の対象になった場合、当然ながら、過去にさかのぼって、まとめて期限後申告することになります。
そこで待ち受けているのは、
- 本来の所得税・住民税・消費税
- 期限後申告に対する 無申告加算税
- 内容が悪質と判断された場合の 重加算税
- 納付が遅れた期間に応じた 延滞税
これらが、何年分もまとめてやってくる、という現実です。
本人としては「いつかやろうと思っていた」だけのつもりが、ふたを開けてみると、生活を圧迫するほどの金額になっていることも珍しくありません。
「なんでもっと早く来てくれなかったんですか!」
無申告の調査では、本当にいろいろな経営者の方を見てきました。
その中で、今でも忘れられない一場面があります。
何年分もの無申告がまとめて発覚し、高額な期限後申告と納税を迫られたあるオーナーの方は、しばらく黙り込まれた後、私に向かってこうおっしゃいました。
「なんで、もっと早く来てくれなかったんですか!」
正直に申し上げて、その瞬間、私は強い憤りを感じました。
申告は、税務署が呼びにいくものではありません。自ら期限内に行うのが、納税者としての基本中の基本です。それを長年放置しておきながら、いざ追徴の話になった瞬間、その責任を税務署のせいにされる ―人として、調査官として、納得のいかない一場面でした。
ただ同時に、もう一つ感じたことがあります。
この方は、ずっと不安だったのだ、ということです。
心のどこかで、「いつか来るのではないか」という不安を抱えながら、それでも「自分からは動けない」まま、ここまで来てしまった。
その不安と諦めが、あの一言になって出てきたのかもしれない、と。
「バレずに終わる人」もいます。しかし…
正直に申し上げます。
税務署の手が届かないまま、開業から廃業まで、無申告のまま駆け抜けてしまう方も、世の中には確かにいらっしゃるでしょう。
私自身、それを完全に否定するつもりはありません。
ですが、現場を30年見てきた人間として、これだけは申し上げておきたい。
「バレたとき」のペナルティは、想像よりはるかに大きい。
何年分にもさかのぼった本税、無申告加算税、重加算税、延滞税。
社会的信用の毀損。融資・賃貸契約・補助金、すべてに影響する申告書・納税証明書の不在。
そして何より、長年抱え続けた不安そのもの。
これらをすべて天秤にかけたとき、真面目に申告するのが、結局のところ一番得なのです。
これは、調査する側として、本気でそう思っています。
「整ってから相談しよう」は、一番危ない発想です
無申告の方とお話していて、もう一つよく聞く言葉があります。
「もう少し、自分で整理してから相談しようと思って…」
「こんなぐちゃぐちゃの状態で、税理士さんに見せられない」
お気持ちはよく分かります。
ですが、ハッキリ申し上げます。整ってから来ようとする方ほど、来るのが遅くなるのです。そして、その間にも、延滞税や加算税は、静かに積み上がっていきます。
税理士に相談するのは、「整ってから」ではありません。
整え方が分からないからこそ、整える前に相談していただきたいのです。
自主的に申告すれば加算税が軽減される制度もあり、税務署から先に動かれる前であれば、まだ打てる手はたくさん残っています。
困ったときは、仁王さん通り税務会計にお任せください
無申告・期限後申告は、
- 開業した時点で、外側に足跡が残っている
- 放置するほど、税額もペナルティも積み上がる
- 「単なる遅れ」が「重加算税」に転じる境界線がある
- 早く動けば、まだ打てる手は残っている
という、時間との勝負の世界です。
私は調査する側として、「もっと早く相談してくだされば、ここまで大きな話にはならなかったのに」というケースを、本当に数えきれないほど見てきました。
だからこそ、お伝えしておきたいのです。
税金の相談に、“きれいに整ってから”は必要ありません。
むしろ、ぐちゃぐちゃのまま、不安なまま、来ていただいて大丈夫です。
申告が遅れている、何年もしていない、納税できる自信がない、税務署から手紙が来た ―
どの段階でも構いません。怒られる前に、一緒に整えていきましょう。
そして最後に、もう一度だけお伝えします。
真面目に申告するのが、結局のところ、一番です。
困ったときは、ぜひ 仁王さん通り税務会計 にご相談ください。
熊本の無申告・期限後申告のご相談
「整ってから」ではなく、整える前にご相談ください
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