税務調査は「臨場した瞬間」に始まっているわけではありません
国税の現場で30年仕事をしてきて、皆さまにまずお伝えしたいことがあります。それは、税務調査は「選定」の段階から、すでに始まっているということです。
調査官は、何の根拠もなくランダムに会社を訪れているわけではありません。申告内容、過去の推移、業種ごとの平均値、取引先からの情報、各種の資料情報――こうしたものを突き合わせて、「この会社は売上か経費を操作している可能性が高い」と判断したうえで、調査先として選定しています。
つまり、調査官が御社に伺った時点で、頭の中の前提は、
「この会社は、何かしらの操作をやっている」
なのです。これは厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、現場の本音です。ですから、調査の現場で一番多く出てくるのは何かというと、これも本音で言えば、「売上そのものをごまかすケース」です。選ばれた時点で“やってて当たり前”レベル、と言い切ってもいいくらいでした。
規模が小さいうちは、「売上除外」が王道です
会社の規模が小さく、経理を社長やご家族だけでやっているうちは、操作のやり方はシンプルです。
- 現金売上の一部を、帳簿に載せずに抜く
- 一部の取引先の請求を、そもそも記録しない
- 売上の入った口座を、申告書に出さない
いわゆる「売上除外」です。帳簿に載せなければ、その分だけ利益は減り、税金も減ります。社長ご本人の中では、「ちょっとだけ」「これくらいなら」という感覚かもしれません。
しかし、この種の操作は、取引先からの反面調査、預金の動き、業界平均との比較などで、わりとあっさり浮かび上がります。だからこそ、調査の入口でまず疑われるのは、いつもこの「売上除外」なのです。
規模が大きくなると、「期ズレ」を使った操作にシフトします
ところが、売上が伸び、経理担当者を採用し、人員や書類が増えていくと、話は変わってきます。社外の取引先・社内の経理担当・銀行口座、こうしたものが絡んでくると、単発の売上をごっそり抜くという荒っぽい操作は、急に難しくなるのです。
そこで登場するのが、「期ズレ」を使った利益操作です。本来は当期に計上すべき売上を、翌期にずらして当期の利益を圧縮する。これも立派な操作ですが、規模が大きくなるほど、こちらにシフトしていく傾向があります。
単純な期ズレは、一発で見抜かれます
ただし、ここで覚えておいていただきたいのは、入金ベースだけでズラすような単純な期ズレは、ほぼ一発で分かるということです。調査官は、
- 納品書・出荷伝票の日付
- 工事完了報告書・検収書の日付
- 在庫の動き
- 入金と請求のタイミング
これらを横並びで突き合わせます。請求書の日付だけが翌期にズレていても、納品や検収が当期で終わっていれば、すぐに違和感が浮き上がります。
そして、これが見つかると、操作する側はもう一段踏み込みます。それが、経理と取引先を巻き込んだ「改ざん」です。
- 請求書の日付そのものを書き換える
- 請求書の品目や数量を書き換える
- 取引先と口裏を合わせて、翌期付けで再発行してもらう
ここまで来ると、もはや単なる期ズレではありません。仮装隠蔽――つまり重加算税の世界です。
だからこそ、調査官は“帳簿の外”を見ます
書類が改ざんされている可能性があるとなれば、調査官は帳簿だけを見ていても答えにたどり着けません。そこで使うのが、「前後の流れ」を実物で追うという方法です。
帳簿の日付は書き換えられても、現場で人が動いた事実までは書き換えられません。外注先の作業日報や、従業員の出勤記録が、書面上の請求書日付と食い違っていれば、その時点で「改ざんの疑い」が一気に濃くなります。
私たちが現場で何をしていたかというと、書面と現場のズレを丹念に拾い上げていたのです。税務調査への具体的な対応は税務調査対応のページ、対応の流れや料金は税務調査の特設ページもご覧ください。
困ったときは、仁王さん通り税務会計にお任せください
期ズレや売上計上の問題は、最初は「ちょっとした調整」のつもりが、書類の改ざんに踏み込んだ瞬間に、過少申告加算税(10%)から、重加算税(35%)の世界へ一気に飛び込んでしまうものです。
しかも怖いのは、社長ご本人にその自覚がなく、経理担当や取引先との“なんとなくの調整”の積み重ねで、気づいたら戻れないところまで来ている、というケースがあることです。
私は調査する側として、その境界線を何度も見てきました。「これって大丈夫かな?」と一瞬でも引っかかるラインがあれば、その時点でご相談いただきたいのです。境界を越えてしまう前なら、まだ打てる手はたくさんあります。
困ったときは、ぜひ仁王さん通り税務会計にご相談ください。
熊本の税務調査対応・税務顧問
「これって大丈夫かな?」と思ったら、お早めに
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