税務調査官が『この会社は怪しい』と判断する5つのサイン【元資料調査課が暴露】
「なぜウチが税務調査の対象に?」その理由、元調査官がお答えします
「税務調査の連絡が来た…なぜウチが選ばれたの?」
税務調査の通知を受けた経営者の方から、このような質問をよくいただきます。
実は、税務調査の対象選定は「運」ではありません。税務署には明確な選定基準が存在します。
私は国税に30年間勤務し、資料調査課で500件以上の調査を担当してきました。
資料調査課とは、通常の税務署とは異なり、大口・悪質な案件を専門に扱う部署です。
今回は元調査官だからこそ語れる、「税務署が『この会社は怪しい』と判断する5つのサイン」を包み隠さずお話しします。
これを知っておくだけで、税務調査のリスクを大幅に減らすことができます。
目次
- 税務調査の「対象選定」の仕組み
- 調査官が「怪しい」と判断する5つのサイン
- 資料調査課が動くケースとは
- 税務調査を避けるための予防策
- すでに調査通知が来た場合の対処法
- まとめ
1. 税務調査の「対象選定」の仕組み
税務調査は「ランダム」ではない
多くの経営者の方が誤解されていますが、税務調査の対象はランダムに選ばれるわけではありません。
税務署には全国の申告データが集約されており、AIシステムと調査官の目視で「異常値」を検出しています。
選定の3段階プロセス
税務調査の対象は、以下の3段階で選定されます。
【第1段階】システムによる自動抽出
- 売上・経費率の前年比較
- 業種平均との乖離
- 消費税の課税区分の異常
- 赤字や利益率の極端な変動
【第2段階】調査官による資料情報との照合
- 取引先の申告内容との矛盾
- 支払調書との不一致
- 不動産取引の登記情報
- 金融機関からの情報
【第3段階】統括官の最終判断
- 過去の調査履歴
- 業種特性
- 地域の調査方針
- 調査の優先順位
つまり、税務調査には必ず理由があります。
「たまたま選ばれた」ということはありません。
2. 調査官が「怪しい」と判断する5つのサイン
それでは、私が調査官時代に「この会社は調査が必要だ」と判断していた5つのサインをお伝えします。
【サイン①】売上が前年比で大幅に減少している
なぜ怪しいのか?
売上が前年に比べて20%以上減少しているのに、合理的な理由が申告書に記載されていない場合、調査官は「売上除外(隠蔽)の可能性」を疑います。
私が調査官時代に見たケース
- 前年売上5,000万円 → 今年3,000万円(▲40%)
- しかし従業員数は変わっておらず、経費も大きく減っていない
- 取引先への反面調査で、申告されていない売上が発覚
売上減少の合理的な理由とは
以下のような理由があれば、調査対象になりにくいです
- コロナ禍等による営業自粛
- 主要取引先の倒産
- 店舗の一時休業
- 災害による休業
防衛策
売上が大幅に減少した場合は、申告書の「特記事項」欄に理由を記載しておくことが重要です。
また、取引先の倒産であれば倒産証明、休業であれば休業届など、証拠資料を保管しておきましょう。
【サイン②】経費率が同業者平均を大きく上回る
なぜ怪しいのか?
税務署は業種ごとに「標準的な経費率」のデータを持っています。
これを大きく上回る場合、「架空経費」または「家事費(プライベート支出)の混入」を疑います。
業種別の一般的な経費率(目安)
| 業種 | 一般的な経費率 |
|---|---|
| 飲食店 | 売上原価30~35%、経費合計60~70% |
| 小売業 | 売上原価65~75%、経費合計80~85% |
| IT・サービス業 | 経費合計40~60% |
| 建設業 | 外注費・材料費60~70%、経費合計75~85% |
私が調査官時代に見たケース
- 飲食店で原価率が70%(通常30~35%)
- 調査の結果、家族の食費や知人への贈答品が混入していた
- 修正申告で追徴課税
防衛策
自社の経費率が同業者平均と比べて高い場合は、その理由を明確に説明できる資料を準備しておきましょう。
例:
- 新規出店の初期費用
- 機械設備の大規模修繕
- 広告宣伝費の大幅増額(新規顧客獲得のため)
【サイン③】外注費が急増している
なぜ怪しいのか?
外注費が前年に比べて急増している場合、調査官は「給与の付け替え(社会保険逃れ)」を疑います。
外注費は消費税の仕入税額控除の対象になり、社会保険料の負担もないため、給与を外注費として処理する不正が多いのです。
私が調査官時代に見たケース
- 前年の外注費100万円 → 今年800万円
- 外注先を調査すると、実質的に「従業員」と同じ働き方
- 「給与」と認定され、源泉所得税の追徴と社会保険料の遡及適用
「外注費」と「給与」の判断基準
税務署は以下の基準で判断します:
| 項目 | 外注費(業務委託) | 給与(雇用) |
|---|---|---|
| 指揮命令 | 自己の裁量で業務 | 会社の指示に従う |
| 勤務時間 | 自由 | 固定(9~18時等) |
| 報酬 | 成果報酬 | 時給・月給 |
| 他社との契約 | 可能 | 専属 |
| 材料・道具 | 自己負担 | 会社負担 |
防衛策
外注先との業務委託契約書を必ず作成し、以下を明記しましょう:
- 業務内容
- 報酬の計算方法(時間単価ではなく、成果報酬が望ましい)
- 業務の自由度(指揮命令関係がないこと)
また、請求書・納品書・振込明細を必ず保管してください。
【サイン④】代表者への貸付金が多額にある
なぜ怪しいのか?
貸借対照表に「役員貸付金」が多額に計上されている場合、調査官は以下を疑います:
- 売上除外資金の還流 → 申告していない売上を、社長個人に移している
- 公私混同 → 会社の資金を私的に使っている
私が調査官時代に見たケース
- 貸借対照表に「役員貸付金3,000万円」
- 社長に「何に使ったのですか?」と質問すると説明できず
- 過去の売上を洗い直すと、申告漏れが発覚
防衛策
役員貸付金が発生している場合は、以下の対策を:
✅ 返済計画を作成 → 毎月定額で返済するスケジュールを明示
✅ 利息を計上 → 無利息の貸付は税務上問題になる(適正利率:年1.6%程度)
✅ 貸付の理由を明確に → 「住宅購入のため」「一時的な資金繰り」など、説明できるように
【サイン⑤】消費税の課税区分ミスが多い
なぜ怪しいのか?
消費税の課税売上を「非課税」や「不課税」と誤記載している場合、調査官は「意図的な消費税逃れ」を疑います。
特に2026年以降は、インボイス制度の本格運用により、消費税の調査が厳格化されています。
私が調査官時代に見たケース
- 本来「課税売上」なのに、「非課税売上」として申告
- 消費税の納税額が本来より少なくなっていた
- 修正申告で追徴課税+過少申告加算税
よくある課税区分ミス
| 取引内容 | 正しい区分 | 間違いやすい区分 |
|---|---|---|
| 商品販売 | 課税売上 | 非課税と誤記載 |
| サービス提供 | 課税売上 | 不課税と誤記載 |
| 土地の売却 | 非課税売上 | 課税と誤記載 |
| 海外売上 | 輸出免税 | 課税と誤記載 |
防衛策
インボイス制度対応を再確認しましょう:
✅ 適格請求書(インボイス)を正しく発行 ✅ 課税区分を正確に記帳 ✅ 消費税の申告前に顧問税理士にダブルチェックを依頼
3. 資料調査課が動くケースとは
資料調査課とは?
私が所属していた「資料調査課」は、通常の税務署の部署とは異なり、大口・悪質な案件を専門に扱う部署です。
国税局に設置されており、管轄内の広域案件や重要案件を担当します。
資料調査課の特徴
- 事前に内定調査を実施
- 反面調査(取引先への調査)が多い
- 重加算税の賦課率が高い
- 複数の調査官がチームで調査
資料調査課が動く典型的なケース
① 年間売上1億円以上の無申告 → 事業を行っているのに、全く申告していないケース
② 不動産取引での大規模な所得隠し → 土地・建物の売却益を申告していない
③ 海外取引を利用した租税回避 → 海外法人を利用した利益移転
④ 組織的な消費税不正還付 → 架空の仕入れで消費税還付を受けるケース
⑤ 反社会的勢力との取引が疑われるケース → 資金の流れが不透明
⑥ その他 → 書けないことが多いので、お茶を濁しときます
4. 税務調査を避けるための予防策
元調査官として、税務調査のリスクを減らすための5つの予防策をお伝えします。
✅ 予防策① 申告書の「整合性」を最優先
前年との比較
- 売上・経費の増減理由を説明できるようにする
業界平均との比較
- 自社の経費率が同業者と比べて妥当か確認
取引先との整合性
- 支払調書や取引先の申告内容と矛盾がないか
✅ 予防策② グレーゾーンは「説明できる根拠」を準備
グレーゾーンの経費処理がある場合は、「なぜこの処理をしたか」を書面化しておきましょう。
例:
- 「家賃の按分割合30%の根拠」
- 「交際費が増加した理由(新規営業強化のため)」
✅ 予防策③ 消費税のインボイス対応を完璧に
2026年は消費税調査が激増します。
インボイス制度の対応状況を今一度確認してください:
✅ 適格請求書発行事業者の登録済み
✅ 請求書にインボイス番号を記載
✅ 仕入税額控除の要件を満たしている
✅ 予防策④ 顧問税理士との定期面談(月1回)
顧問税理士と月1回は面談し、以下を確認しましょう:
- 経理処理に問題がないか
- グレーゾーンの項目はないか
- 税務調査リスクはどの程度か
リアルタイムでの問題発見が、税務調査リスクを大幅に減らします。
✅ 予防策⑤ 過去の税務調査の「指摘事項」を再発防止
過去に税務調査を受けた経験がある場合、その時の指摘事項を記録し、再発防止策を講じましょう。
同じミスを繰り返すと、重加算税のリスクが高まります。
5. すでに調査通知が来た場合の対処法
慌てず、まずは顧問税理士に連絡
税務調査の事前通知が来たら、まずは顧問税理士に連絡してください。
通知から実際の調査まで、通常1~2週間の準備期間があります。
調査前にすべきこと
① 過去5年分の帳簿を確認
- 領収書・請求書が揃っているか
- 記帳内容に誤りがないか
② グレーゾーンの項目を洗い出し
- 説明が難しい経費はないか
- 証拠資料が不足している項目はないか
③ 税理士と事前打ち合わせ
- 調査官から聞かれそうな質問を想定
- 回答をシミュレーション
調査当日の心構え
✅ 正直に答える → 嘘をつくと重加算税のリスク
✅ 分からないことは「分からない」と答える → 曖昧な回答は避ける
✅ 税理士に同席してもらう → 専門家のサポートが不可欠
✅ 余計なことは話さない → 聞かれたことだけに答える
6. まとめ
税務調査は「運」ではなく、「必然」で来ます。
元調査官の視点から見れば、対象企業の選定理由は明確です。
【今回のポイント】
✅ 売上の大幅減少は理由を明記
✅ 経費率が同業者平均と大きく乖離していないか確認
✅ 外注費は契約書で「業務委託」を明確に
✅ 役員貸付金は返済計画と利息計上
✅ 消費税の課税区分ミスをゼロに
逆に言えば、上記の5つのサインを回避すれば、税務調査のリスクは大幅に減らせます。
「自社は大丈夫だろうか?」と不安な方は、国税OBの税理士にセカンドオピニオンを求めることをお勧めします。
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【当事務所の特徴】
⚔️ 国税30年勤務・累計調査件数500件超の税理士
⚔️ 資料調査課での勤務経験あり
🛡️ 「税務署目線」でのリスクチェック
💯 税務調査立ち会い実績多数
【診断内容】
✅ 過去3年分の申告書をチェック
✅ 税務署目線でリスク評価
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【プロフィール】
平野和博税理士
国税30年勤務(資料調査課経験、累計調査件数500件超)
税理士開業6年目
「仁王像のごとく経営者をお守りする」がモットー
税務調査対策、エンタメ業界、相続、資金調達を得意としています
