熊本市中央区坪井の仁王さん通りにある税理士事務所(仁王さん通り税務会計)の平野和博税理士です。
あっという間に10月に突入し、秋めいた気候になってまいりました。
出張する際、車窓から見える景色にあまり変化はございませんが、歩行者の服装は完全に秋バージョンになっており、季節の移ろいを感じるようになりました。
これからは山の景色も変わり始め、本格的な秋模様となりますが、去り行く夏を惜しみながら日々の事務に努めてまいりたいと考えております。
さて、今年の8月に国税庁が「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)に対するパブリックコメントを募集していたのですが、反響が物凄かったようです。
この改正案は、雑所得の範囲を明確に定めるために策定するもので、そのボーダーラインを収入金額300万円として、これを超えれば事業所得、越えなければ雑所得と区分しようとするものでした(何て乱暴な・・・)。
この動きに対し、ネット上では「副業300万円問題」として話題となり、本日、国税庁から発表されたパブリックコメントの意見件数は、なんと7,059件もの意見が寄せられており、通常の70倍程の反響があったと言われています。
意見の概要を見てみると、「副業を推進する政府の方針に逆行するものではないか」とか「本業か副業かで所得区分を判断すべきではない」といった反対意見が多くを占めており、確かにごもっともという感じでした(肯定意見は記載してありませんので、そうなりますけどね)。
ということで、最終的には「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。」とした上で、「なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存が無い場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事業がある場合を除く。)には業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。」という取り扱いに落ち着いたようです。
* 詳しくは、e-govのパブリックコメント→案件一覧からご覧ください。
これで、「300万円」という基準は実質的に(ほぼ)なくなったということになりますので、「サラリーマンで事業として副業を行っており、その事業の赤字を給与所得と損益通算し、還付申告を行っている方」は、収入金額が少なくても今まで通りの取り扱いとなりましたが、事業所得とするためには「帳簿書類の保存がある」ことが大前提となりますので、そこのところは十分ご注意頂きたいと思います。
結果として、「副業300万円問題」を知らない方は、知らないまま、ほぼ改正前の取り扱いに着地しておりますので、何の弊害もありませんでしたが、仁王さん通り税務会計では常にアンテナを張り巡らせて事務を行っておりますので、税金に関するお悩み等がございましたら是非ご相談して頂きたいと思います。
なお、初回のご相談は無料にて対応させて頂きますので、お気軽にご連絡ください。